税理士からみた休業保障制度―経費になる・ならないよりも保障内容を重視―

税理士法人コンフィアンス 税理士 益子 良一

私たち税理士は、開業医または勤務医の先生方から税務相談だけでなく経営や資産運用などの相談を受けることがある。
そのうちの一つとして、「医師や歯科医師といえども病気や傷害により休診しなければならない場合がある。開業してから病気等になったときは自分で対処しなければならないが、そのための備えとしてどうすればよいか。」と相談されることがある。
私は、休業したときの生活を保障する保険として、保険医協会・医会の休業保障制度を紹介している。

休業保障制度の加入を勧めると、「民間の所得補償保険と比べどうか、また経費になるのか。」と問われることがある。
休業保障制度は経費にならないが、同様の民間保険も経費にはならない。民間の所得補償保険で経費に入れることができると言っているのは、法人・個人とも、従業員が保険の対象者の場合で一定の条件がある。個人事業主の場合は必要経費に入れることはできないし、法人の代表者の場合は、その保険料を役員報酬に上乗せすることにより損金(必要経費)算入が可能となるに過ぎず、その部分が過大な報酬とみなされると損金に算入することはできない。
経費になるかならないかよりも保障内容全体をみて、経営戦略上のリスク管理の一つとして制度のよしあしを判断する必要がある。
税務上、休業保障制度の傷病給付金は、民間の所得補償保険と同じように非課税となっており、休業保障制度の次のような点が保障制度全体を判断する上でのポイントとなる。

(1)拠出金(1口当たり毎月)

加入年齢 拠出金額
~29歳 2,500円
30~39歳 2,800円
40~49歳 3,000円
50~54歳 3,300円
55~59歳 3,700円

(2)傷病休業給付金、入院給付金および長期療養給付金の支払金額と給付日数

給付金の種類 支払金額(1口当たり) 給付限度など
傷病休業給付金 ①入院は休業1日目から

②自宅での休業は4日目から

1日につき6,000円

通算500日
入院給付金 入院1日につき2,000円を

傷病休業給付金に加算

入院給付金単独での給付はありません
長期療養給付金 休業1日につき

自宅3,000円

入院6,000円

傷病給付金の通算500日を超えて連続して休業している場合に、1回限り230日を限度に給付

休業保障制度の傷病給付金は、入院は1日目から給付され、自宅療養期間も給付対象である(自宅療養で休業の際は休業4日目から給付)。

 

(3)弔慰給付金および高度障害給付金ならびに脱退給付金の支払金額

給付金の種類 支払金額(1口当たり)
弔慰給付金 ※50万円

どちらか一方の給付を受けると脱退となります。

高度障害給付金
脱退給付金 加入期間に応じて定めた金額

脱退給付金は別表として定められており、加入期間3年以上(1口当たり)21,800円から加入期間50年の439,500円まで段階的に給付金が支給される。

保険医協会・医会の休業保障制度は、民間の所得補償保険に比べ掛金が安く、保障内容にも優位性がある。開業医は医療経営を行う上で、勤務医にしても自分が病気等になったときの生活を守るために加入する価値があると言えよう。

 

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