第109回(2025.9.25) 旧交を温める〔兵庫協会・古川裕〕

2026年6月3日

第109回 (2025.9.25)

旧交を温める

私は米国留学期間を除き、大学入学以降ずっと近畿地方に住んでいるが、京都から神戸に移ってから気づけば20年弱が過ぎた。幸い、一緒に働く仲間や部下に優秀で勤勉な方々が多いため、比較的平穏に長く現職を続けられている。そんな中で、海外の国際学会への参加は、ともすればマンネリ化する日常に良い刺激となる。当科医師の発表を頼もしく見守り、新しい情報にも触れて、自分自身のモチベーションを高める機会となる。昨年11月に米国シカゴ市で開催されたAHA2024に参加した。学会場の通路を歩いていると懐かしい顔が近づいてきた。米国留学先の研究室を主宰していたA教授だ。約25年前に帰国し、しばらくはメールでのやり取りや学会での講演の聴講、日本人留学生仲間による夕食会で近況を知る機会もあったが、最近は風の噂で近況を耳にする程度だった。

身内に不幸があり落ち込んでおられると聞いて心配していたが、久々に会うと、「同期の教授たちは引退したが、自分はこの仕事が楽しくてたまらない。今も大学で研究を続けている。日課のランニングも続けており、今朝も学会が始まる前に6マイル走ってきた」と話された。70歳代後半とは思えぬ昔のままの元気な姿が嬉しかった。共通の知人の近況など、学会場の廊下で長く立ち話した。

先日、静岡の病院に勤務する大学の同級生が講演に招いてくれ、別の分野で活躍している同級生2人も加わり、4人で夕食のテーブルを囲んだ。2人とは20〜30年ぶりであったが、大学時代の話が弾み、幸せな気持ちになった。卒後30年で初めて開催された大学医学部の同窓会に仕事の都合に加えて億劫で参加しなかったことをちょっと後悔した。

昔の知人に会うことがとても感慨深く貴重なことと思ったのは、自分が歳を取ったせいであろうか。これまでの人生に色彩を与えてくれたのは出会った人々であり、これからの人生で新しい出会いも大切にして彩りのある日々を過ごしたい。

古川 裕
(ふるかわ・ゆたか)

神戸市立医療センター中央市民病院副院長、兼循環器内科部長。兵庫協会会員。