第2回 高度急性、医療連携の強化へ 感染症対応

2022年度医科診療報酬改定を視る

診療報酬改定の概要と特徴を連載でお届けします。

2022年3月18日

人員集中配置を重点評価 高度急性期

 今次改定では、コロナ等新興感染症対応を重点課題に位置づけています。 コロナ感染者の急増による病床逼迫を踏まえ、高度急性期医療が手当・補強されました。ICU、救命救急入院料2・4について、算定上限日数は通常14日以内ですが、ECMO(体外式心肺補助)装着や臓器移植(心臓、肺、肝臓)の患者は各々25日、30日にまで延長されます。ただし、早期からのリハビリや栄養管理に係る加算届出が必要です。
人工呼吸やECMOに関わる評価が見直されるとともに、入院患者の転院搬送を評価する救急搬送診療料において、ECMO装着等の重症患者を上乗せ評価されます。
また、人員の集中的配置に向けて、ICU、救命救急入院料2・4において、3年以上のICU経験などを積んだ看護師や臨床工学技士等を配置し、特殊な治療法等(ECMO、補助人工心臓等)の患者を15%以上受け入れている場合に加算評価されますが、●全国でも一桁の病院しか届出できません。その他、ICU設置や救急搬送件数2千件以上など高度急性期並みの急性期医療を提供する医療機関(7対1病棟届出が前提)に対して「急性期充実体制加算」(入院1週間まで460点など)として評価されました。

 

一般医療機関の評価課題

平時の感染防止対策の推進に向けて、病院等を対象とした感染防止対策加算が「感染対策向上加算」に再編されるとともに、診療所を対象とする「外来感染対策向上加算」(以下、外来加算)が新設されます。感染症治療を担う体制を取る医療機関の感染対策向上と連携強化を図る狙いです。

感染対策向上加算について、加算1(入院初日710点)を算定する医療機関を中心に、加算2(同75点)、加算3(同75点ほか)を算定する病院、及び外来加算(1人につき6点)を算定する診療所の間で連携が必要です。合わせて、加算1を取る病院による加算2・3、外来加算を取る医療機関への助言について指導強化加算(30点)として、加算1を算定する病院への感染症発生状況等の報告について連携強化加算(1人につき3点又は30点)として、厚労省の院内感染対策サーベイランス(JANIS)などへの参加についてサーベランス強化加算(1人につき1点又は5点)として評価し、連携体制、感染症蔓延・予防対策の増強を図ります。

加算に応じて要件は異なりますが、重症者はじめ患者の入院受入れ、発熱外来体制(発熱患者の動線を分ける、自治体HP公表)など感染症患者(疑い含め)を直接診療する医療機関が対象となります。感染防止対策部門の設置や新興感染症発生を想定した訓練の主催・参加、会議等への参加なども課され、ハードルは高くなります。外来加算は1人医師の小規模診療所では厳しい上、評価も低いと言わざるを得ません。

全ての医療機関が平時より感染防止対策に取り組んでいます。第8次医療計画(2024年度開始)に向けて新興感染症と以外の医療の両立に向けた体制整備を検討していきます。感染防止対策に係るコストを正当に評価して、先の外来等感染症対策実施加算のように、全ての医療機関で算定できる点数項目や実施体制コストに見合ったPCR・抗原検査の点数設定などが必要です。