厚労省は4月25日、マイナンバーと健康保険証の紐づけミスが新たに545件判明したことを公表しました。昨年12月段階で医療保険にかかるマイナンバー紐づけミスは8695件報告されてます。
今回新たに判明した分とあわせて9240件のマイナンバー誤登録があったことになります。
保団連は政府のマイナンバー総点検本部(23年12月)の調査はすべての被保険者を対象としていないこと等問題点を指摘してきました。また、保団連が実施した10月以降の医療機関でのマイナトラブル調査(1月末公表)でもマイナンバー紐づけミスが102件(トラブル全体の2%)が報告されました。それ以外の様々なトラブルが続いています。 「国民の不安払拭には程遠く健康保険証廃止は撤回すべき」と強く求めてきました。
しかし、岸田政権は、こうした状況を顧みることなく、2024年12月2日に健康保険証を廃止することを決定しました。現実はどうでしょう。昨年12月の「総点検」修了後もマイナンバー紐づけミスは続いています。12月に健康保険証を廃止する方針を直ちに撤回すべきです。
保険者の点検は目視のみ 過去の紐づけミスは不問
総点検修了後も厚労省は、医療保険に登録済みのデータのうち氏名等の不一致があった約 139 万件をピックアップし、各保険者等に確認作業を依頼していました。
そもそも「氏名等が不一致」の139万件は氏名以外の他の情報は一致しているが氏名に●が1文字あるケースは点検対象から取り除かれています。
また、支払基金から各保険者に示された点検方法には、目視による確認です。
その上、①「資格喪失者情報」は点検対象としない②表記の揺れの範囲は一致したものと見なしてよい、と点検方法が曖昧で漏れが生じやすいくなります。
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過去情報(資格喪失者)の紐づけミスはチェックしてない
マイナポータルで閲覧できる医療情報・薬剤情報はすべて過去の情報です。過去の情報が自分のものか他人のものかは非常に重要です。
支払基金が保険者に依頼した調査概要では過去の情報(=資格喪失者情報)は本人確認が困難なため調査対象とされていません。「資格喪失者」とは過去に所属していた保険組合に加入時の履歴情報を意味します。
資格喪失情報は、総計で4000万件(支払基金のシステムに登録された1億6000万件のうち4000万件)となります。
氏名等の不一致で目視点検の対象となった139万件のうち、過去情報がどれくらいかは公表されていませんが、住所等の特定が困難なため、保険者による調査対象から外されています。
医療情報、薬剤情報の紐づけミスが生じる可能性があります。政府は医療DXで便利で医療の質が向上すると言いますが、他人の過去の病歴や薬歴が紐づけられている可能性が残ります。
国民の不安払拭のためには情報公開と丁寧な点検・チェックが必要であり、拙速に「総点検終了」「紐づけミスはもう発生しない」と結論づけるべきではありません。
今回新たに545件判明したことで国民の信頼回復には程遠い状況になりました。
あらためて保険証廃止方針を撤回することを強く求めます。
マイナトラブル調査
【記者会見1月31日・#保険証廃止勝手に決めるな】マイナトラブル調査(最終集計) 8672医療機関より回答 – 全国保険医団体連合会 (doc-net.or.jp)
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