2021年4月6日現在
厚生労働省は、インフルエンザ流行期に発熱患者等の診療及び検査を行う医療機関及び電話相談の補助を行う医療機関への支援を目的として、「発熱外来診療体制確保支援補助金」を9月15日に創設した。
補助金には、「外来診療・検査体制確保事業」と「発熱患者の電話相談体制整備事業」の二つがあり、いずれも当面2021年3月末までを補助対象としている。概要を紹介する(本ページのPDFはこちら[PDF:299KB])。
1.「発熱外来診療体制確保支援補助金」について
(1)補助金の概要
① 「発熱外来診療体制確保支援補助金」は、都道府県知事が指定した「診療・検査医療機関(仮称)」に対して厚生労働省が交付する補助金であり、1日当たり最大「268,940円(20人×13,447円)」を補助ベースとして、外来診療・検査体制確保料が交付される(自院のかかりつけ患者及び自院に相談のあった患者である発熱患者等のみに対応する場合は、1日当たり最大「67,235円(5人×13,447円)」である)。
② ただし、発熱患者等専用の診察室で行った診療は保険請求(コロナ検査は患者負担分を公費請求)できることから、診療を行った患者1人につき13,447円が補助金から減額される(減額は1日ごと)。
従って、補助ベースを超える発熱患者等を診察した日は、補助金がゼロとなる場合もあるが、「診療・検査医療機関(仮称)」に必要な個人防護具は、国から配布される。
③ 「診療・検査医療機関(仮称)」の指定は、医療機関の申請に基づいて、都道府県が指定を行う。
(2)補助金の交付対象である「診療・検査医療機関(仮称)」の要件
① 都道府県より、下記に掲げる要件を満たす「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受けていること。指定は11月以降も可能である。
都道府県により申請様式などが異なるため、指定を検討する医療機関は、ネットで「診療・検査医療機関 〇〇県 指定」で検索いただくか、県の担当課(感染症対策課、コロナ対策室など名称は異なる)、最寄りの保健所、医師会等に問い合わせられたい。
ア.発熱患者等専用の診察室(時間的・空間的分離を行い、プレハブ・簡易テント・駐車場等で診療する場合を含む)を設け、発熱患者等を受け入れる体制をとっている。
イ.検査を行う場合は、新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の委託契約を行っている(自院では検査を行わず、地域外来・検査センター等と連携体制を確保して検査を委託する場合も指定を受けられる)。
ウ.自院を受診した患者が、新型コロナウイルス感染症であった場合には、速やかに保健所や都道府県調整本部に連絡し、患者の状態を伝える等、患者の療養先の検討に協力する。また、自宅療養や自宅での待機を行っている患者に対するフォローアップについては、可能な範囲で協力する。
エ. 新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)及び新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)に情報入力を行う。
② 情報公開
ア. 次のいずれかの対応を行うこと。なお、自治体のホームページ等による医療機関名の公表は、希望する医療機関に限る扱いだが、都道府県等によっては公開を前提とする場合もあるので、申請書などで事前に確認が必要である。
a) 予め発熱患者等の対応時間帯を住民に周知する。
b) 地域の医療機関や受診・相談センター(仮称)と情報共有して、発熱患者等を受け入れる。
イ. 「自院のかかりつけ患者及び自院に相談のあった患者である発熱患者等のみを受け入れる場合」は、自院のかかりつけ患者に対して「発熱等の症状が生じた場合には、電話で相談した上で、自院で診療・検査可能である」旨を院内掲示等で周知する。
③ 新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)及び新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)に必要な情報の入力を行う。
③ 指定要件の詳細は、下記ホームページの5~7頁を参照いただきたい。
「診療・検査医療機関(仮称)」の 指定要件掲載ページ |
短縮URL | QRコード |
https://bit.ly/3dDr8Aa |
(3)補助金の交付額
① 一の診察室につき、1日あたり20人を上限とし、20人を7時間で除した数値に、発熱患者等専用の診察室で受け入れる体制を確保した時間数(診療・検査対応時間)を乗じた数を「基準患者数」とする。
例示 1日に7時間実施する場合は、20÷7×7=20人
1日に6時間実施する場合は、20÷7×6=17.1428…人
② 自院のかかりつけ患者及び自院に相談のあった患者である発熱患者等のみを受け入れる場合は、一の診療室につき1日当たり5人を上限とし、5人を2時間で除した数値に、発熱患者等専用の診察室で受け入れる体制を確保した時間数(診療・検査対応時間)を乗じた数を「基準患者数」とする。
例示 1日に2時間実施する場合は、5÷2×2=5人
1日に1時間実施する場合は、5÷2×1=2.5人
③ 補助金は、3月末までの1日ごとの「基準患者数(上記①又は②)」から「受診患者数(受入患者数)」を差引いた人数に、13,447円を乗じた額となる。なお、下記ア又はイに該当する場合は下記の減算を行う。
ア.「診療・検査対応時間」において、発熱患者等を担当する医師が発熱患者等専用の診察室とは別の診察室で、看護師の専任体制を確保して、他の疾患等の患者の診療を行った場合は、当該患者数の2分の1の数を同日の「基準患者数」から差し引く。
イ.「診療・検査対応時間」において、発熱患者等を担当する医師が発熱患者等専用の診察室において、やむを得ず、他の疾患等の患者の診療を行った場合(オンライン診療を含む)は、当該患者数を同日の「基準患者数」から差し引く。
ウ.発熱等受診患者数がゼロだった月(2020年9月、10月は除く)は、補助額は半額となる。
【補助額の例1】自院のかかりつけ患者以外の患者等も受け入れる場合の例示
診療時間 | 受診者数 | 補助額(1日当たり) |
1日7時間 | 基準額 | 20÷7時間×7時間(自院の診療・検査対応時間) =20人 13,447円×20人=268,940円 ※診療・検査対応時間を6時間にした場合は、 20÷7時間×6時間=17.1428…人 13,447円×17.1428…=230,520円 |
1人 | 20-1=19人 13,447円×19人=255,493円 |
|
20人以上 | 20人以上診察した場合は、20-(20+α)となるため、補助金はゼロ円となる。 |
※発熱患者数が0人の月は、補助金が半額となる。
※1日7時間以上で設定することも可能だが、その場合も1日20人分が上限。
【補助額の例2】自院のかかりつけ患者等のみを受け入れる場合
診療時間 | 受診者数 | 補助額(1日当たり) |
1日2時間 | 基準額 | 5÷2時間×2時間(自院の診療・検査対応時間) =5人 13,447円×5人=67,235円 ※診療・検査対応時間を1時間にした場合は、 5人÷2時間×1時間=2.5人 13,447円×2.5人=33,617円 |
1人 | 5-1=4人 13,447円×4人=53,788円 |
|
5人以上 | 5人以上診察した場合は、5-(5+α)となるため、補助金はゼロ円となる。 |
※発熱患者数が0人の月は、補助金が半額となる。
※1日2時間以上で設定することも可能だが、その場合も1日5人分が上限。
(4)厚生労働省への補助金申請書提出の流れ
① 都道府県から「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受けた上で、厚労省のホームページから「申請書」をクリックして、Excel表をダウンロードする。
医療機関への案内、事業の概要、Q&A、交付要綱も下記ホームページに掲載している。
補助金の概要及び 申請書掲載ページ (右の「申請書の提 出について」参照 |
短縮URL | QRコード |
https://bit.ly/3dBUKxU |
② Excel表には、4つのシートが入っている。4つのシートを記入した上で、「都道府県から診療・検査医療機関(仮称)の指定を受けたことを証する書類」(都道府県の指定通知書等の写し)を添付して、下記に郵送で提出する。
申請書提出先 | 住所: 〒119-0397 銀座郵便局留 宛先: 厚生労働省発熱外来診療体制確保支援事業担当 宛 |
③ 上記ホームページからダウンロードしたExcel表には、4つのシートの記入要領及び、イの交付申請書別紙の事業計画記載の考え方が示されているので、それに沿って記入する。なお、留意点は、下記の通りである。
ア. 「交付申請書」(=第2号様式)
「1.国庫補助申請額」は、「交付申請書(別紙)」(=2号様式(別紙))のExcel表の35行目の補助申請額を記入する。ただし、自院のかかりつけ患者及び自院に相談のあった患者である発熱患者等のみを受け入れる場合は、46行目の補助申請額を記入する。
イ. 「交付申請書(別紙)」(=2号様式(別紙))
- Ⅰ.基本情報、Ⅱ.補助金の振込先、Ⅲ.事業計画を入力する。
- Ⅲの事業計画の入力に当たっては、「【参考事例】交付申請書(別紙)Ⅲ.事業計画の記載」シートを参照する。
- 自院のかかりつけ患者及び自院に相談のあった患者である発熱患者等のみを受け入れる場合のⅢ.事業計画は、Excel表の25行目の事業開始・終了月及び、39行目以降の1日想定稼働時間数、稼働日数、1日想定受診者数を記入する。
ウ. 「請求書」
- 請求書には、補助予定額の半額を記載して請求する。「交付申請書」(=第2号様式)の「1.国庫補助申請額」に記載した金額の5割の額を10万円単位に四捨五入した金額を記入する。
- 「交付申請書」(=第2号様式)には、請求書の添付が案内されていないが、必ず添付する。
エ. 「予算書」
- 予算書の補助金収入欄と体制確保経費欄は、「交付申請書(別紙)」(=2号様式(別紙))の補助申請額が自動的に反映される。
④ 上記ホームページ(https://bit.ly/3dBUKxU)の「申請書の提出について」に掲載されている「別紙」Excel表(患者受け入れ実績表)は、提出は不要である。これは、3月以降、自院のかかりつけ患者以外の患者等も受け入れる医療機関(基準患者数上限20人/日)において、実績報告を行うために必要な日々の管理台帳のひな形であり、各医療機関でダウンロードして活用願いたい。その場合、次に留意する。管理台帳は医療機関が管理しやすいものを独自に作成しても良い。
ア. (3)の③のアに掲げる「診療・検査対応時間に、別の診察室で診療を行った、他の疾患等の患者」数×0.5人を受け入れ患者数に加える。
イ. (3)の③のイに掲げる「診療・検査対応時間」において、発熱患者等を担当する医師が発熱患者等専用の診察室において、やむを得ず、他の疾患等の患者の診療を行った場合(オンライン診療を含む)は、当該患者数×1人を受け入れ患者数に加える。
⑤ 自院のかかりつけ患者等のみを受け入れる医療機関(基準患者数上限5人/日)は、ホームページに掲載されている「別紙」のExcel表では計算ができない。保団連で「別紙」をベースに、「開設時間受診者数整理表(自院患者のみVer)」[Excel:65KB]を作成したので活用いただきたい。
※掲載していたExcel表に埋め込んだ数式の一部(U列191行目及びV列191行目)に誤りがありましたので、2021年4月6日にExcel表を差し替えさせていただきました。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
⑥ 補助金は、原則として2回にわけて支払われる。
ア. 1回目は、請求書に記載した額(申請額の5割(10万円単位に四捨五入))が概算払いされる。厚生労働省のホームページでは、提出から1カ月以内に交付の決定が行われるとしている。
イ. 1月頃に実際の受診状況を確認し、大きく変動している場合は、変更申請を行い、補助金の追加又は減額を行う。
ウ. 事業完了(3月末まで)後に、受診者数等の実績を報告し、補助額が確定する。実績報告書は作成中とされており、現在はまだ示されていない。
(5)厚生労働省の問い合わせ先
厚生労働省医療提供体制支援補助金コールセンター 0120-336-933
※コールセンターは大変込み合っており、接続されるまで20~30分以上かかる。
2.発熱患者の電話相談体制整備事業
(1)制度の主旨
多数の発熱患者等が適切に相談を受けられる電話相談体制を整備することにより、感染症対策の強化を図ることを目的に、「電話相談業務に必要な経費」として、実費又は100万円のいずれか低い額が交付される。
ただし、指定は、受診・相談センター1か所あたり3医療機関までである。
(2)補助金の交付対象である「電話相談体制を整備した医療機関(仮称)」の要件
① 都道府県より「電話相談体制を整備した医療機関(仮称)」の指定を受けている。
ア.発熱患者等の土日祝日や夜間の電話相談業務を行う医療機関である。
イ.指定は、受診・相談センター1か所あたり3医療機関までとする。
② 患者からの相談に対しては、看護職員等が患者の症状や経過、感染者との接触歴(海外渡航歴等も含めて)、既往歴や持病の有無、かかりつけ医の有無等を聞き取った上で 、 適切な医療機関と適切な受診タイミングを案内する。
③ 事業に係る収入及び支出を明らかにした帳簿を備え、当該収入及び支出について証拠書類を整理し、かつ、当該帳簿等及び証拠書類を補助金の額の確定の日(事業の中止又は廃止の承認を受けた場合には、その承認を受けた日)の属する年度の終了後5年間保管しておかなければならない。
(3)交付額
① 下記に掲げる対象経費又は100万円のいずれか少ない額である。
賃金、報酬、謝金、需用費(消耗品費、印刷製本費、材料費、光熱水費)、役務費(通信運搬費、手数料、保険料)、委託料、使用料及び賃借料、備品購入費
② 交付申請は、厚生労働大臣あてに提出し、提出から1カ月以内に交付の決定が行われる。
(4)電話相談体制整備事業の指定要件と、概要及び申請書など
① 指定要件は、下記ホームページの9~10頁目を参照いただきたい。
「電話相談体制を 整備した医療機関」の 指定要件掲載ページ |
短縮URL | QRコード |
https://bit.ly/3dDr8Aa |
② 「電話相談体制を整備した医療機関」の概要及び申請書は、下記ホームページを参照いただきたい。
「電話相談体制を 整備した医療機関」の 概要及び申請書 |
短縮URL | QRコード |
https://bit.ly/2HkZax9 |
(5)厚生労働省の問い合わせ先
厚生労働省医療提供体制支援補助金コールセンター 0120-336-933
※コールセンターは大変込み合っており、接続されるまで20~30分以上かかる。
2.発熱患者の電話相談体制整備事業
- 次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について(9月4日 新型コロナ感染症対策推進本部事務連絡)[PDF]
- 令和2年度インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金(インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業)の交付について(9月15日 厚生労働省発健0915第8号)[PDF]
- 令和2年度インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金(インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の電話相談体制整備事業)の交付について(9月15日 厚生労働省発健0915第7号)[PDF]
- 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第1版)」及び鼻腔検体採取における留意点等について(10月2日 新型コロナ感染症対策推進本部事務連絡)[PDF]
- インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保に係る診療時間等の変更に係る医療法上の取扱いについて(10月6日 医政局総務課事務連絡)
- 新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令等について(施行通知)(10月14日 健発1014第5号)
- 「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)を活用した感染症発生動向調査について」の改正について(10月14日 新型コロナ感染症対策推進本部事務連絡)
- 「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HERSYS)を活用した感染症発生動向調査について」に関するQ&Aについて(その4)(10月14日 新型コロナ感染症対策推進本部事務連絡)
- 新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて(一部改正)(10月14日 健感発1014第2号)
- 次のインフルエンザ流行に備えた発熱患者等が医療機関を受診した場合の流れについて(10月16日 新型コロナ感染症対策推進本部事務連絡)
- 自治体・医療機関向けの情報一覧(事務連絡等)(新型コロナウイルス感染症)(随時更新 厚生労働省特設ホームページ)