【9月13日記者会見】マイナトラブル最終報告 7070医療機関から回答

978医療機関で負担割合が違う!?
マイナトラブル39都道府県 374区市町村で確認

全国保険医団体連合会

<記者会見概要>

トラブルの全国的な広がりが鮮明に

「医療保険制度の根幹にかかわる問題」解決をアピール

 マイナトラブル調査第2弾最終集計発表

 

保団連は9月13日国会で、「マイナトラブル調査第2弾」(7/14~8/31)の最終集計をもとに記者会見を開催しました。会見には報道各社から14社21人が参加し、活発な質疑が行われました。負担割合の誤表示等トラブル調査では、回答施設の13.8%に当たる978医療機関(39都道府県374市区町村)がエラーを経験しており、問題が全国的な広がりをみせていることが鮮明となりました。今回、これまでの会見でも紹介した負担割合相違の問題に加え、①「カードリーダーの『高額療養制度を利用する』を押さないと負担割合が返映されず、一律3割負担となってしまう」ケースや、②マイナ保険証によるオンライン資格確認で得られた負担割合に基づき請求し、後で返戻されるケースが全国で55医療機関も寄せられている点を取り上げました。カードリーダー操作による誤表示では、これだけトラブルが報告される中で患者が情報漏洩の不安を覚え、高額療養費の情報は「提供しない」ボタンを押すケースが多数報告されています。千葉県のケースでは、医療機関では正しい負担割合が表示されないエラーの改修を申し込んでいるが、改修までに時間がかかり、それまで患者につききりで操作説明をせざるを得なくなっています。

また返戻については、昨年から開始された審査支払機関での振替機能により減少していましたが、オンライン資格確認の開始に伴う「新たな返戻問題」として浮かび上がってきています。「レセプト返戻まで起きている。何が正しいの?」「オンラインのデータが違っていての返戻は大変困ります」「現場を無視したやり方に困惑する」など不安や怒りの声が寄せられています。報告を行った竹田智雄副会長は、岸田首相が指示している1憶6千万件の総点検とは全く違うトラブルがこれだけの規模で全国に広がっていることが鮮明になったとし、「報告したトラブルは氷山の一角にすぎない。ますます混迷を深め、解決できないトラブルがどんどんわき上がっています。これは医療保険制度の根幹に関わる深刻な問題」だと指摘、「健康保険証を残すことこそが唯一の解決策だ。87.8%もの医療機関が2024年秋以降も健康保険証の存続を求めています。患者の健康を守る立場からこれからも継続して問題解決を求めていく」と決意を表明し、報道各社にこの間報道いただいている点に感謝を述べるとともに、引き続き理解と協力を求めました。

 

<報告資料概要> 赤字はリンクあり

少なくとも39都道府県、978医療機関

保団連は7月27日から第2弾マイナ保険証・オンライン資格確認のトラブル調査を実施し、8月31日までに39都道府県・7070医療機関から回答が寄せられました。そのうち、39都道府県374市区町村978医療機関で健康保険証の券面と異なる窓口負担割合が表示されました。1医療機関で20~30件のエラーが確認されたところも散見され、50件のエラーが確認されたところも2件ありました。

窓口負担の過不足で患者・医療機関に不利益も

調査では、「健康保険証では負担割合が2割なのにマイナ保険証では3割と表示された」「本来は1割なのに2割と表示」などの誤表示で新たに保険者への確認業務が必要となるケースや、「カードリーダーの『高額療養制度を利用する』を押さないと負担割合が返映されない」ケース、一部負担金の過不足が生じ患者クレームを招くとともに、間違った負担割合で保険請求したことによるレセプト返戻も生じています。誤りの原因は、▼保険者の登録ミス▼システム仕様による誤登録▼レセコンの仕様で負担割合を正しく読み込まない▼カードリーダーの操作手順と情報提供の趣旨が患者、医療機関に周知されていない―など様々なである。年齢からはあり得ない負担割合が表示されるケースも確認されおり、患者・医療機関での実態調査だけではトラブルの解決は困難です。

国、厚労省は問題に真摯に向き合って実効性ある取り組み推進を

厚労省は9月7日の社保審医療保険部会にて、医療保険に関するマイナンバーの紐づけ誤り問題をめぐり、1億6000万件分の被保険者情報を総点検する方針を示しました。政府のマイナンバー情報総点検本部は医療保険を含む紐づけ情報の点検・チェックを11月末までに完了させるとの方針を示していますが、厚労省の示した方針は11月までにJLIS照会・突合による不一致事例を抽出するだけで、不一致事例が11月末までに解消されるわけではありません。その後の確認作業を保険者、事業所若しくは被保険者に丸投げする形となります。

マイナトラブルの真相究明を

こうしたマイナトラブルの真相解明に向けて国・自治体、レセコンメーカー、審査支払基金、国保連等の関係者の協力は欠かせません。国、厚労省は問題解決に真摯に向き合って、原因解明、再発防止に実効性ある取り組みをするべきです。
保団連は、9月13日に記者会見するとともに、会見後、厚労省保険局国保課、高齢者医療課、医療介護連携政策課へ要請し、問題解決を求めました。全国的に広がりを見せるマイナトラブルは医療保険制度の根幹に関わる問題である。マイナトラブルの解決と何より保険証存続に向けて引き続き取り組みを進めていきます。

 

<各社の報道>

【NHK】9月13日

マイナ保険証 医療費負担割合の誤表示 978の医療機関で確認 | NHK | マイナンバー

【朝日新聞】9月13日

マイナ保険証の窓口負担誤表示トラブル、1千施設近く確認 保団連:朝日新聞デジタル (asahi.com)

【m3.com】9月13日

「患者負担割合の相違」13.8%、978施設が経験、保団連調査厚労省の調査・再発防止・保険証存続の3項目を要望

【毎日新聞】9月13日

978医療機関で負担を誤表示 70歳以上マイナ保険証 保団連調査 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

【東京新聞】9月13日

マイナ保険証、13.8%の医療機関で誤表示…原因は不明なまま 保団連が調査結果を公表:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

【共同通信】9月13日

978医療機関でマイナ誤表示 70歳以上受診時、保団連調べ | 共同通信 (nordot.app)

【日経メディカル】9月15日

978の医療機関が「負担割合の誤表示例」を報告:日経メディカル (nikkeibp.co.jp)