政府のマイナンバー情報総点検本部(第3回)が10月6日に開催され、医療保険におけるマイナンバー紐づけ誤りが前回総点検本部(8月8日)報告以降で103件増え、これまでに8544件確認されたことを報告しました。うち20件で薬剤・診療情報の誤閲覧されました。
保険者「自主点検」による誤登録は1109件に
保険者の点検に伴う誤登録は前回8月8日報告の1069件から40件増え、10月6日段階で1109件になりました。医療保険者による点検は終了しますが、現在、支払基金において、1億6000万件の被保険者情報と住民記録の5情報による「突合」が行われています。
保険者の点検について少し経緯を振り返ります。6月21日に政府のマイナンバー情報総点検本部が設置されて以降、先行して3400の医療保険者の内、1313団体を調査対象とし、約1570万件を調査していました。調査対象の抽出は厚労省が各医療保険者に簡単なアンケートを実施し、該当する被保険者の調査を依頼したものです。具体的には、事務手順に則さない対応(3情報以下でJ-LIS照会し登録した等)で誤ったマイナンバーを医療保険者向けの中間サーバーに登録した可能性がある事案を有する保険者に点検・チェックを求めるものです。
当該事案があったかどうか、2014年のマイナンバー登録が開始された時期では、曖昧な検索などで微妙なケースも多く含まれています。保団連は、疑い事例を有するか否かの判断はあくまで保険者に任されている点で「自主点検」と指摘しました(下記声明参照)。結果として、医療保険者向け中間サーバーの存在する被保険者情報(1億6000万件)を調べることとなりました。
参考:
マイナンバー登録済みデータ(1億6000万件)の謎 住民記録と医療保険はこんなに違う!(9月10日)
【声明】他人情報紐づけ1069件は氷山の一角 全件チェック・全容解明まで運用停止を求めます (8月8日)
「総点検・中間報告」を総点検する(8月5日)
保険者点検とは別に63件の誤登録
第3回総点検本部の資料(p2の※3)には「別途、令和3年10月から令和5年9月29日までの間に7435件の紐づけ誤りを確認」と記載されています。厚労省保険局の担当官からは、医療保険者の総点検で判明した1109件とは別に確認された事案の累計で9月29日まで確認されたものの件数との説明がありました。
厚労省資料には「別に」の詳細記載がありませんでしたが、資料p8に「健康保険証の紐づけ誤り」の項目で「保険資格情報に他人のマイナンバーが紐付いた」事案として2023年9月末時点の累計で8544件であることが公表されています。
8月8日の第2回総点検本部報告(7372件)+保険者点検(1109件)を足すと8481件であることから8544件(9月30日時点)-8481件(8月8日時点)=63件が前回以降の積み増し分の誤登録となります。
63件誤登録はどこで確認されたのか?
8月8日の第2回総点検本部資料p4に「オンライン資格確認の運用開始から令和5年5月22日までに判明した、保険者から異なる個人番号が登録された件数」として、令和3年10月~令和5年5月22日の期間で「保険者から異なる個人番号の登録が判明した事例」が7372件、「うち薬剤情報等が閲覧された事例」が10件としています。保険者「自主点検」の枠組みとは別の、つまり、医療現場でマイナ保険証等を利用して確認された紐づけ誤りと推察されます。
10000医療機関から回答が得られた保団連の第1回マイナトラブル調査でも「他人の情報が紐づけられていた」が31都道府県で114件確認されています。
前回報告分は5月22日までの期間ですので、今回新たに報告された63件は、5月23日以降に確認された紐づけ誤り事案となります。国会審議の政府答弁で新たに誤紐づけが生じないと断言していましたが、答弁の信ぴょう性に疑問符が付きます。厚労省にはさらなる情報公開と明確な説明を求めます。
(参考)