【#保険証廃止勝手に決めるな】医療機関を動員!? 厚労省の強引なマイナ保険証推進策

多くの国民が「保険証廃止が現実的でない」

2023年12月のマイナ保険証利用率が4.29%と8カ月連続落ち込む中で、厚労省は、1月19日医療保険部会でマイナ保険証利用推進策を示しました。

マイナカード、マイナ保険証は任意取得や任意の利用が原則です。患者・国民がメリットを感じれば自ずと利用が増えるはずです。利用が低調なのはメリットがほとんどないからです。

厚労省の利用推進策は、医療機関側から患者にマイナカード持参を呼び掛けさせるものであり、非常に強引かつ危ういものです。

マイナ保険証が普及しない要因について、厚労省は、「窓口で『保険証をお持ちですか?』と聞いている」、「保険証廃止の現実感がない」と捉えています。

しかし、医療機関受診時に健康保険証の持参・呈示を呼び掛けることは保険診療を提供する上で必要な行為であり、健保法で規定された「被保険者証の資格確認」そのものです。

にもかかわらず、医療機関側が患者に「保険証お持ちですか」と呼び掛けていることをマイナ保険証推進の「障害」と捉え、かつ、資格確認方法の変更を迫ることは行政自らが法令違反を助長していることに繋がります。

マイナカード取得は任意であり取得を強制しないこと、カードを取得していないこと者に対する不当な差別的取り扱いは行わないことを定めた参議員付帯決議に反します。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議 (sangiin.go.jp)

一方で、多くの国民が「保険証廃止が現実的でない」と捉えていることを厚労省自身も認識しています。そうであれば保険証廃止方針を撤回すべきです。

 

「マイナカードお持ちですか」は誤解を招く

 マイナ保険証推進キャンペーンとして、「窓口での声かけを『マイナンバーカード(マイナ保険証)お持ちですか』へ」とのスローガンを掲げてます。このスローガンが医療機関窓口で実施されたら患者とのトラブルに発展することを危惧しています。マイナカードや、マイナ保険証の利用は任意です。マイナ保険証の利用登録を済ませた人は7100万人にすぎず、5000万人はマイナ保険証を持っていません。マイナカード取得者は9000万ですが、2000万人がマイナカードすら取得していません。このような状況で、優越的地位にある医師・医療機関側が患者に対して「マイナカードお持ちですか」と声掛けさせることは、受け止めによっては、マイナ保険証がないと保険診療が受けられないとの誤解を招く可能性があります。

受診を盾にマイナカード取得やマイナ保険証の利用を事実上、強制することになります。医療機関に利用率向上の数値目標を定めさせ、マイナ保険証の利用・勧誘行為を補助金で誘導することは患者とのトラブルを加速させることになります。資格確認の手段は、現行の健康保険証廃止後も資格確認書が発行されることからマイナ保険証が資格確認の唯一無二の手段ではありません。にもかかわらず、マイナカード(マイナ保険証)ありき(限定)で医療機関から患者に利用を押し付けることは法令違反です。医療機関を動員し患者にマイナ保険証利用を促す推進策は中止すべきです。

この点について、保団連は、1月19日の医療保険部会後のブリーフィングで厚労省に違法性が疑われると指摘しましたが、根拠も示さず厚労省は「問題なし」と言いました。さらに厚労省は、全医療機関に対してマイナ保険証利用率向上を図らせるため、利用率向上の目標を設定させるとしています。2月の診療報酬請求時にオンライン請求の回線を利用して取り組み状況の調査を実施するとしています。

オンライン請求やオンライン資格確認の回線やインフラを利用して当該調査を実施することも問題です。保団連は、厚労省に対して「任意のマイナ保険証の推進を行うことは、事実上強制となり問題」と指摘しました。厚労省担当官は「あくまで自主的なもの」、「お願いレベル」と弁解しました。

健康保険証を使い続けよう

保団連は、これからも健康保険証で保険診療が受けられることを医療機関や患者・国民に広く周知していきます。その上で、厚労省が示した10月からマイナ保険証の利用登録を解除できる仕組みなど選択肢を広く国民に周知していきます。「ポイント目当てでマイナ保険証の利用登録をしたものの解約したい」との問い合わせが多く寄せられています。マイナ保険証の利用登録も解除も国民の任意選択に委ねることが最も適切であると考えています。

ウェブサイト等で電子証明書の失効手続きや今回の医療保険部会の利用登録の解除の方法や時期等についてご案内しています。電子証明書が切れた場合でも保険者からプッシュ型で資格確認書が交付されることが明示されましたので周知していきます。

<参考記事>

【#保険証廃止勝手に決めるな】10月からマイナ保険証の紐づけ解除が可能に
 マイナカード搭載の電子証明書の失効手続きが可能です
【#保険証廃止勝手に決めるな】12月のマイナ保険証利用率4.29% 8カ月連続低下