「がん治療あきらめなくては」高額療養費改悪で子育て世代の患者に打撃

全世代に負担増となる高額療養費限度額の引き上げは子育て世代にも大きな影響が出る。
がん治療に継続しながら就労継続や治療費等経済的負担について当事者の声を聞いた。
0歳の長男を抱っこするHTさん

2022年6月にステージ1の直腸がんと診断され手術しましたが、その後肺転移が分かり、23年12月から24年11月まで抗がん剤治療を行いました。2週間に1度、朝から夕方までかけて投与します。CVポートを埋め込む初回や副作用が強く出たときなど入院が必要なときもありました。
現在は上限が8万100円ですが、1回で上限ぎりぎりになり、その月の2回目はほとんど支払いがない状況でした。毎月のことなので、多数回該当も助かりました。それが8月から1割増、27年には11万3400円になるというのです。とても納得できません。
昨年5月に第2子が生まれ、6歳になる長女にもこれから何かとお金が必要になってくると思います。妻も現在は仕事をしていないので、将来については不安しかありません。物価高騰で実質賃金も下がっているときに、なぜ限度額の「引き上げ」なのでしょうか。
昨年12月のCT検査で見える範囲の病変はなくなり、抗がん剤治療もいったん終了となりましたが、再発の不安はずっと付きまといます。治療中はどうしても仕事を休むことが多くなり収入も下がってしまいます。もし再発したら「治療を諦めなくてはならないかな」と思うこともあります。
高額療養費制度はすべての人にかかわるものだと思います。私も以前は自分の健康を疑ったことがありませんでしたが、誰もが病気になる恐れがあります。今回に限りませんが、みんないずれ高齢者になるのだから、「高齢者の医療費がかかりすぎ」と削るのも違うと思うし、「世代間の平等のため」と言って低い方に合わせるのもおかしいと思います。高額療養費制度の改悪は絶対にやめてほしいです。