【声明】
何のためのパブコメなのか――
高額療養費の負担限度額引き上げに抗議する
2026年8月1日
全国保険医団体連合会
会長 竹田 智雄
高額療養費制度の負担限度額が8月から引き上げられた。これに関する政・省令案へのパブリックコメントは5000件を超え、同時期に公表された他の案件に比べ突出した多さであり、そのほとんどが反対意見だった。しかし、提出意見を踏まえた政令案の修正は「無」。何のためのパブコメなのだろうか。全国保険医団体連合会は改めて高額療養費制度の見直しに抗議し、白紙撤回を求める。
「当事者の意見が反映されているとは思えない」
負担限度額引き上げに対し、当会が呼びかけた白紙撤回を求めるオンライン署名は30万筆に上り、署名や患者アンケートには、「物価が高騰する中、現状でも厳しい」「子どもの教育費のため治療を諦めるしかない」といった切実な声が多く寄せられた。
パブコメでは、「当事者の意見が十分に反映されているとは思えない」との意見が上がった。これに対する厚労省の考え方は「患者団体も参加する専門委員会で様々な事例を含む資料を示し、議論を重ねた」というものだが、委員会では具体的な負担額見直し案は示されないまま議論をまとめている。影響の検証は極めて限定的な事例にとどまり、現役世代の制度利用者の多くが教育費への影響を心配しているにもかかわらず、必須経費として教育費は控除されず、治療に伴う所得減少の現実も踏まえていない。委員会に参加した全国がん患者団体連合会は「患者団体が専門委員会で議論したことが、むしろ免罪府に利用されているようにも見える」と批判している。
「心に留める」だけなのか
改正健保法の付帯決議では、将来の見直しの際は家計への影響を考慮し、教育費や収入変動等に留意することが盛り込まれているが、政府の一連の不誠実な対応を見れば、今回と同様に、文字通り「心に留める」のみになるのではないかと危惧する。
経済的破綻といのちの危機をまねく高額療養費制度の自己負担限度額引き上げは、白紙撤回することを強く求める。


