第4回 膨大なデータ数。自治体現場に責任丸投げ マイナ保険証運用拡張

第4回 膨大なデータ数。自治体現場に責任丸投げ マイナ保険証運用拡張

自治体がPMHにおいて取り扱うデータも膨大です。
現在、地方単独事業では、ほぼ全ての自治体で中学卒業まで外来医療費を助成しています。子ども(中学生未満)の数は1,453万人(2023年4月1日現在)におよびます。以外にも、各種障害者、妊産婦、難病、大気汚染(喘息等)など様々あります。公費負担医療は難病、肝炎、
母子保健や医療扶助(生活保護)を含めて23種類あります。難病の患者だけで対象(341対象疾患)は約105万人にのぼります(2022年度現在)。
さらに、それぞれの制度ごとに所得基準(有無含め)や窓口負担上限額などが設定(原則1年単位で更新)されています。こうした中、自治体において、各人に係るマイナンバー・個人属性(氏名、カナ、生年月日、住所等)、受給者券面項目など多くの内容について、正確にPMHに連携(登録・更新)することが求められます。(下図は、PMHに登録する医療情報。)
相次ぐ障害者手帳と個人番号(マイナンバー)の紐付け誤りなどを見ても、行政改革により人員不足が続く全国の自治体において、さらに大きな負荷を強いられます。PHM参加に際して「健康保険証のような紐付け誤りは発生しないのか」との自治体からの質問に対して、デジタル庁は、「適切な紐付けがなされていることを前提に」受給者情報をPMHに登録してもらうとしており(同上Q&A)、実質上、自治体現場に負担・責任を丸投げする格好です。紐付け誤りへの不安は拭いきれません。

 

「医療費助成・予防接種・母子保健分野等でのマイナンバーカードを活用したデジタル化の推進」(自治体システムベンダー向け説明会資料(2024年1月19日)、デジタル庁HP)