新マイナトラブル 693 医療機関で負担割合が違う! 32 都道府県 290市区町村で確認

693 医療機関で負担割合が違う!?
マイナトラブル 32 都道府県 290市区町村で確認

全国保険医団体連合会

少なくとも32都道府県、693医療機関

保団連は7月27日から第2弾マイナ保険証・オンライン資格確認のトラブル調査を実施し、8月8日までに33都道府県・5055医療機関から回答が寄せられた。そのうち、32都道府県290市区町村693医療機関で健康保険証の券面と異なる窓口負担割合が表示された。

1医療機関で50件のエラーが確認されたところもあった。

窓口負担の過不足で患者・医療機関に不利益も

調査では、「健康保険証では負担割合が2割なのにマイナ保険証では3割と表示された」「本来は1割なのに2割と表示」などの誤表示で新たに保険者への確認業務が必要となるケースや、一部負担金の過不足が生じ患者クレームを招くとともに、間違った負担割合で保険請求したことによるレセプト返戻も生じている。
誤りの原因は、▼保険者の登録ミス▼システム仕様による誤登録▼レセコンの仕様で負担割合を正しく読み込まない―など様々なである。年齢からはあり得ない負担割合が表示されるケースも確認されおり、患者・医療機関での実態調査だけではトラブルの解決は困難である。

「2割なのにデータで3割」「1 割なのにマイナで 2 割」

 千葉市内のクリニックで発覚した異なる負担割合が表示されたケースで 7月14日に千葉市長が誤登録を認めた。
確認された原因として、国保組合が被保険者情報や個人番号を登録する医療保険者向け中間サーバーへの登録ミスだけではない。神奈川県の後期高齢者医療広域連合などに医療機関から問い合わせがあった事例では、サーバー上のデータは正しいのに、医療機関のレセプトコンピューターで表示される負担割合が実際の負担割合と異なっていた。厚労省はこの問題を早い段階から承知しており、3月16日にシステムベンダーのみが閲覧できるサイト上で注意喚起していたが、患者・医療機関には未だに公表していない。そのため全国の保険医療機関はレセコン仕様によるエラーへの対処が甚だ困難な状況にある。

千葉県船橋市のクリニックでも誤表示

千葉県船橋市の船橋二和病院・ふたわ診療所では本来 1 割負担の患者さんがマイナ保険証を利用する際の同意しないと一律に 3 割と表示される事例が報道された(しんぶん赤旗 8 月 20 日付)。
朝日新聞の報道(8 月 21 日)によると同クリニックでは「70 歳以上の高齢者がマイナ保険証を使ったときに本来とは違う「3 割負担」と誤表示されるトラブルが 4 月から相次いで起こった」。
原因は「患者が受け付けの際にカードリーダーの画面上で高額療養費制度の「限度額情報の提供」に同意しなかった場合に生じている」とのことである。今回の調査でも同種の事例が報告された。

厚労省は全容解明に踏み出すべき

原因は様々であり患者・医療機関だけではトラブルを認識することすら困難である。厚労省は8月24日の社保審医療保険部会にて、24日の医療保険部会で厚労省は「各保険者等に対し、負担割合の相違が判明し中間サーバー等の負担割合を修正した事象について調査を行っており、9月上旬に調査結果がとりまとまり次第公表予定」とした。さらに、「レセコンベンダに対し、旧仕様により算定した負担割合を表示している場合にはその旨を顧客である医療機関等に伝達した上で、資格確認端末
等で負担割合等を確認する必要があることを周知するよう要請した」と公表した。

真相解明に向けて国・自治体、レセコンメーカー、審査支払基金、国保連等の関係者の協力は欠かせない。
保団連は、7月 26 日に記者会見を実施するとともに、同日、厚労省保険局国保課に全容解明を求め要請した。8月9日8月23日に記者会見し、それぞれ370医療機関、693医療機関の窓口負担相違事例を公表した。

全国的に広がりを見せる新たなマイナトラブルは医療保険制度の根幹に関わる問題である。9月13日調査結果(最終集計)を記者発表すると同時に厚労省担当課へ情報提供し、原因解明に向けて取り組みを進めていく。