【救急搬送時のマイナ活用を検証する①】 マイナ活用でデータ取得はわずか2.6%だった!

総務省消防庁は令和4年10月から12月の2カ月間に熊本市、姫路市、前橋市、都城市、彦根市、加賀市の6消防本部30部隊で実証実験を行いました。

実験中の出動した件数は9599件ですが、救急隊長が実証実験を実施可能とした事例が5863件(61.1%)であり、「マイナカード所持」、「マイナ保険証登録」、「本人同意」を満たして最終的にマイナ保険証を活用してデータ閲覧までできた件数は254件でした。出動件数のわずか2.6%に過ぎません。

 

令和4年度救急業務のあり方に関する検討会報告書(令和5年3月)では、救急搬送された負傷者でマイナ保険証を登録していた方(295件)のうち254件が同意した結果を元に「対象者の87%が同意した」、「カード普及や健康保険証との紐づけが進めばさらなる活用が期待される」と評価しています。

 

救急隊長の実証実験の実施を不可としたわけ

救急隊長が現場判断で実証実験を不可とした最も多い理由が、「緊急度又は重症度が高い35%・1323件」でした。衆人環視など環境的理由は10%・358件。「その他」は51%だが、不搬送、転院搬送、新型コロナ感染疑い等です。

本人同意を得られなかった主な理由は、「情報の閲覧よりも早く医療機関へ搬送して欲しい」「救急隊員には知られたくない情報がある」「オンライン上での情報閲覧に対し、セキュリティ上の不安がある」などです。本人同意が得られた258件のうち、4件はシステムエラー通信が不安定などでデータ閲覧そのものができませんでした。エラー率は1.5%でした。2年前はマイナカード普及やマイナ保険証利用登録もまだまだ少ない段階でしたが、カード所持率やマイナ保険証登録率が増加しましたが、医療現場のトラブルは解消されていません。実証実験でデータ無効、資格情報なし、カードリーダーの読み取りエラーなどの不具合増加も懸念されます。