3月5日に高齢者医療の「窓口負担3割化」や「高額療養費制度の見直し・大幅負担増」を求める政策提言を発表した日本維新の会の提言書からその政策を実現すると高齢者の受診行動や命・健康にどのような影響を及ぼすのかを見ていきます。
日本維新の会の政策提言では、「現役世代の社会保険料負担を軽減」「持続可能な医療制度の構築」と称しつつ、▽高齢者の原則3割負担化、▽慢性疾患治療の診療報酬の包括化、▽一般医薬品の保険適用見直し―等を提言しています。
特に、高齢者については、▽70歳以上の「高齢者の医療費3割負担化」(全世代で窓口負担は原則3割に統一)、▽70歳以上(年収156万~370万円の「一般所得者」を念頭)の高額療養費制度の上限額見直し(引き上げ)、▽後期高齢者向けの新たな診療報酬体系の再構築(終末期相談支援料の導入含め)-など 医療の給付内容の見直しだけでなく、保険料負担増など両面で制度改悪していくことが特徴です。
過去最高利益の大企業、高額所得者の負担増にはダンマリ
高齢者からすると負担は増え、給付内容も減らされる、サービスが低下することになります。現役世代も大変だから高齢者も少しは負担して欲しい、医療も我慢して欲しいという国民感情に依拠し、維新提言では、「高齢者の負担増を通じて、現役世代の負担(支援金)の軽減」を強調しています。公的医療保険の財源は、窓口負担、企業と労働者が払う社会保険料、税金の3つで構成されていますが、過去最高の内部留保を更新し続ける大企業や金融資産家への応能負担強化などにはダンマリです。
高齢者、患者・国民だけで財源を調達しないといけないと思わせたり、医療給付を受けている高齢者を「優遇」と決めつけ、給付切り下げの世論を高めるように仕向ける手法は財務省と同じ手口ですがより遠慮なく踏み込んだ提案です。開き直ったものです。保団連は、国民の対立分断を煽り真の財源確保策に目を覆うのではなく、所得再分配機能を強化する視点は、労働者の賃金を引き上げ、社会保険料を確保する道しかないと提言しています。