【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料「廃止」の衝撃 シリーズ

 2024年度診療報酬改定の改定率を巡り、12月22日の閣議決定において「診療所を中心に管理料や処方箋料等の再編等による効率化・適正化を行う」が盛り込まれました。改定率にすると-0.25%であり医療費ベースでは1200億円の削減になります。外来医療での高齢者など慢性疾患の治療や健康管理を担う診療所・中小病院を狙い撃ちにした改定と言えます。1月24日の令和6年度診療報酬改定の答申では、「特定疾患療養管理料の対象疾患から糖尿病、高血圧、脂質異常症を除外する」との項目が盛り込まれました。

診療所・中小病院狙うち 地域医療確保に重大な影響

高血圧・糖尿病・脂質異常症などで特定疾患療養管理料(及び特定疾患処方管理加算)が算定できなくなる場合、内科系診療所を中心に月100万円単位規模での収入減となります。

大阪府保険医協会が実施した会員医療機関の調査では、8割が反対と回答しており、「現場が混乱するのが明らか。内科系診療所はおそらく減収となり賃上げどころでなくなる」など不安・懸念が出されています。減収をリカバリーするため、診療時間(診療患者数)は延び、医療従事者の働く環境がさらに悪化することが危惧されます。地域の第一線で「かかりつけ医」機能を担う医師・医療機関にしわ寄せを行うことは高まる在宅医療ニーズへの対応をより困難とします。糖尿病、高血圧、脂質異常症で通院されている患者さんの健康管理も後退につながりかねない問題もはらんでいます。医療現場に衝撃を与えた特定疾患療養管理料「廃止」による影響や問題点をシリーズで発信します。

【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料【廃止】の衝撃① 1200億円削減で診療所・中小病院を狙い撃ち

【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料【廃止】の衝撃②  3疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症)外しは「廃止」そのもの

【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料【廃止】の衝撃③ 生活習慣病管理料の置き換えは困難 算定実積は57分の1

【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料【廃止】の衝撃④ 患者への影響 

【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料「廃止」の衝撃⑤ 新点数に移行できても年間223万円の削減 

【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料「廃止」の衝撃⑥ 患者のフリーアクセス制限を懸念「登録医」に向けた布石? 

【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料「廃止」の衝撃⑦ 賃上げどころか賃金維持も困難