【2024年診療報酬改定】特定疾患療養管理料【廃止】の衝撃①  1200億円削減で診療所・中小病院を狙い撃ち

診療所・中小病院を狙い撃ち

2024年度診療報酬改定の改定率を巡り、12月22日の閣議決定において「診療所を中心に管理料や処方箋料等の再編等による効率化・適正化を行う」が盛り込まれました。改定率にすると-0.25%であり医療費ベースでは1200億円の削減になります。外来医療での高齢者など慢性疾患の治療や健康管理を担う診療所・中小病院を狙い撃ちにした改定と言えます。1月24日の令和6年度診療報酬改定の答申では、「特定疾患療養管理料の対象疾患から糖尿病、高血圧、脂質異常症を除外する」との項目が盛り込まれました。

内科で再診回数の7割 月100万円単位の減収

医科診療所の再診回数に占める特定疾患療養管理料の算定回数割合は、内科で67.4%、外科で44.6%、小児科で36.2%、泌尿器科で24.1%と日常診療で大きなシェアを占めています(社会医療診療行為別統計2022年6月審査分)。

高血圧・糖尿病・脂質異常症などで特定疾患療養管理料(及び特定疾患処方管理加算)が算定できなくなる場合、内科系診療所を中心に月100万円単位規模での収入減となります。

大阪府保険医協会が実施した会員医療機関の調査では、8割が反対と回答しており、「現場が混乱するのが明らか。内科系診療所はおそらく減収となり賃上げどころでなくなる」など不安・懸念が出されています。減収をリカバリーするため、診療時間(診療患者数)は延び、医療従事者の働く環境がさらに悪化することが危惧されます。地域の第一線で「かかりつけ医」機能を担う医師・医療機関にしわ寄せを行うことは高まる在宅医療ニーズへの対応をより困難とします。糖尿病、高血圧、脂質異常症で通院されている患者さんの健康管理も後退につながりかねない問題もはらんでいます。